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十文字学園理事・十文字学園女子大学特任教授、筑波大学客員教授、お茶の水女子大学名誉教授、学術博士。発達心理学、認知心理学、保育学を専門とする。著書に『子育てに「もう遅い」はありません』(冨山房インターナショナル)など多数。

第4回 「赤ちゃんとお母さん」編2

子どもにとって、親はかけがえのないものです。
特別なことをしなくても、子どもと一緒に笑い、泣き、考え、
行動するという時間を共有するだけで、子どもはぐんぐん成長していきます。
子育てとは、とても自然なものなのです。
(内田伸子先生著書『子育てに「もう遅い」はありません』より)

 

―たのしく・あそぶ・まなぶ・そだつ―

前回までは「楽習」について内田先生に語っていただきました。
今回は「楽習」の土台ともいえる、赤ちゃんとお母さんの大切な関わり合いについて、
内田先生に教えていただきます。

 

ごきげんなときこそたくさん話しかけて

日本のお母さんとアメリカのお母さんにはおもしろい違いがあります。

日本のお母さんは、赤ちゃんが眠っているときに、おぶったり腕に抱いたり着替えをさせたり、
よく働きかけますが、アメリカのお母さんは赤ちゃんが眠っているときは、
さっさと別の部屋へ行き家事をしています。

実は赤ちゃんが眠っている間におむつ替えや着替えをすると眠りが浅く途切れがちになり、
目覚めたときにむずがることが多くなります。眠っているときは何もしないほうがいいのです。

また、アメリカのお母さんは、「今日はいい天気ね」などと、
自分の言葉をわかるかのように赤ちゃんのそばにくるたびに話しかけます。
赤ちゃんのきげんがいいときに話しかけるので、赤ちゃんもそれに呼応するようにごきげんな声を出します。

日本のお母さんはその反対で、赤ちゃんがむずかっているときに、
「どうしたの?」とさかんに声をかけてあやします。
そのためか、日本の赤ちゃんはむずかり声が多いようです。そしてとてもおとなしいのです。

ですから、ごきげんなときにたくさん声をかけてあげてください。
そうすれば、つきっきりでそばにいなくても、お母さんの声が聞こえるだけで赤ちゃんは安心するようになります。

そして、赤ちゃんが眠っているときは自分の好きなことに時間を使えば、お母さんもリフレッシュできると思います。

 

話せる前は、「アイコンタクト」で以心伝心

不思議なことに、生まれて30分しか経ってない赤ちゃんを腕に抱き、
顔を見つめながらゆっくり舌を出すと、赤ちゃんも同じように舌を出します。

赤ちゃんには、反射的に相手と同じ行動をとる力が生まれつき体にそなわっているようです。
ですので、舌を出したり、口を大きく開けたり、いろいろな表情をしてみてください。
赤ちゃんはまねっこをしてくれますので、見ていて大変微笑ましく、飽きることがありません。

コミュニケーションとは、話しかけるだけではなく、こうした表情のやりとりから生まれるものです。

生まれて3か月を過ぎると、お互い見つめ合うようになります。
このとき「アーアー」「マーマー」など声を出してお母さんの注意を引きつけようとするので、
「なあに?」「ママだよ」など話しかけてあげると赤ちゃんも安心するでしょう。

6か月過ぎにはお母さんの目の動きを追いかけて、一緒に同じものを見ようとします。
赤ちゃんもお母さんに注意をうながし、「あれを見て」というそぶりを見せます。
赤ちゃんはお母さんとコミュニケーションをとりたくて、うずうずしているのです。
10か月ころになると、赤ちゃんはお母さんに「あれなに?」というように問い合わせるような表情をします。
そんなときお母さんは「大丈夫、○○よ」と答えてあげてください。

 

言葉の間違いは訂正しないで

言葉の発達に大切なのは、周りの大人がおおらかに受け止めて共感し、返事をしてあげることです。

子どもが「ワンワン」といったなら、「大きいワンワンだね」と子どもが何を言いたいのかをくんで、
言葉を添えてあげるようにしましょう。そうすれば、子どもは次に犬を見たときにも何かを話そうとします。
「ワンワンじゃないでしょ、犬でしょ」と覚えさせようとするお母さんもいます。
せっかく話せるようになったのに、訂正ばかりされていたら、子どもも話す気がなくなってしまうでしょう。
子どもとゆっくりお話しして、お母さんと「話したい」という気持ちを育てれば、
言葉はいつのまにか覚えてしまうものです。
楽しい会話を交わすことは、一番の言葉の練習なのですね。

子育てで何よりも大切なのは、「待つ」ことです。急がず慌てず、
子どもの育ちを待ってあげられることが大事ではないかと思います。
 
me[ミー]夏号 2015 summer Vo.27より転載と追記

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