トップ教えて!ハテナさん~子育てコラム~便育コラム 第7回おむつ返りはどうして起こる?

常磐短期大学准教授、アクトウェア研究所代表、早稲田大学人間総合研究センター招聘研究員。乳幼児の発達心理学を専門とし、子どもの排泄行動などを研究テーマにしている。著書に絵本「うんぴ・うんにょ・うんち・うんご」「うんこダスマン」(ほるぷ出版)、「保育園は子どもの宇宙だ!トイレが変われば保育が変わる」(北大路書房)などがある。幼稚園、保育園の園環境のデザインや提案を行っており、特にトイレ空間が得意である。

[第1回~第21回執筆者]
環太平洋大学教授・お茶の水女子大学名誉教授・十文字学園大学名誉教授・福岡女学院大学大学院客員教授、学術博士。発達心理学、言語心理学、認知科学、保育学を専門とする。著書に『子育てに「もう遅い」はありません』(冨山房インターナショナル)など多数。

便育コラム 第7回おむつ返りはどうして起こる?

一旦、おむつを卒業できたのに、またお漏らしに逆もどりしてしまうことがあります。
 
特に妹や弟が生まれたタイミングで起こることも多いです。
 
このような場合の「おむつ返り」は「赤ちゃん返り」の一つの現れ方です。
 
今まで両親の愛情を独占してきたのに、強力なライバルが現れたわけですから、子どもにとっては人生最大の危機的な状況だといえるでしょう。
 
排泄だけでなく、着替えなど生活全般に赤ちゃん返りが現れて、いろんなことができなくなったりするのですが、「おむつ返り」が特に印象に残るのは子どもにとって効果が絶大だからです。
 
「赤ちゃん返り」は親の関心を自分の方に向けさせるための子どもの戦略でもあります。いろんなことができなかった頃と同じようにまた親に接してほしいという思いが反映しています。
 
どんなことをして見せれば、親がこちらを向いてくれるのか、子どもはよく知っています。
 
特に、親が「どうしてもその事態を放っておけない」と思うような事は効き目があります。
 
たとえば排泄や食事に関する事は、子どもの健康や生命と密接なので、親はたとえ子どもがわざと出来ないふりをしていると分かっていても放っておくことはできないものです。最初は放っておくつもりでいても、結局は根負けしてしまうのは親のほうです。
 
いつまでも食べないでいたり、いつまでも汚れたパンツのままでいるのを、親として放っておくことはなかなか難しいですよね。
 
すべての「おむつ返り」が当てはまるわけではありませんが、「おむつ返り」戦略は子どもの心の状態を反映しているようです。
 
何でも一人でできるようになるということは子どもにとっては誇らしいことなのですが、自律することによって親が離れていくことは不安でもあるのです。
 
このままどんどん親が離れていってしまう、もっと甘えていたいのに・・・と不安と葛藤しているのです。
 
「おむつ返り」はそんな不安や寂しさが、日々の生活に現れた結果といえるでしょう。
 
そんなときは、無理にひとりでさせようと思うと、ますます不安になって逆効果になることもあります。まずは子どもの不安な気持ちを理解して、たっぷり甘えさせてあげることが自律の近道かもしれませんね。

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常磐短期大学准教授、アクトウェア研究所代表、早稲田大学人間総合研究センター招聘研究員。乳幼児の発達心理学を専門とし、子どもの排泄行動などを研究テーマにしている。著書に絵本「うんぴ・うんにょ・うんち・うんご」「うんこダスマン」(ほるぷ出版)、「保育園は子どもの宇宙だ!トイレが変われば保育が変わる」(北大路書房)などがある。幼稚園、保育園の園環境のデザインや提案を行っており、特にトイレ空間が得意である。

[第1回~第21回執筆者]
環太平洋大学教授・お茶の水女子大学名誉教授・十文字学園大学名誉教授・福岡女学院大学大学院客員教授、学術博士。発達心理学、言語心理学、認知科学、保育学を専門とする。著書に『子育てに「もう遅い」はありません』(冨山房インターナショナル)など多数。