トップ教えて!ハテナさん~子育てコラム~便育コラム 第13回保育園の0歳児室にトイレがないのはなぜ?

アクトウェア研究所代表、常磐短期大学特任准教授、早稲田大学人間総合研究センター招聘研究員。乳幼児の発達心理学を専門とし、子どもの排泄行動などを研究テーマにしている。著書に絵本「うんぴ・うんにょ・うんち・うんご」「うんこダスマン」(ほるぷ出版)、「保育園は子どもの宇宙だ!トイレが変われば保育が変わる」(北大路書房)などがある。幼稚園、保育園の園環境のデザインや提案を行っており、特にトイレ空間が得意である。

[第1回~第21回執筆者]
十文字学園理事・十文字学園女子大学特任教授、筑波大学客員教授、お茶の水女子大学名誉教授、学術博士。発達心理学、認知心理学、保育学を専門とする。著書に『子育てに「もう遅い」はありません』(冨山房インターナショナル)など多数。

便育コラム 第13回保育園の0歳児室にトイレがないのはなぜ?

保育園のトイレ環境について調査(関東圏の保育園144箇所)したことがあるのですが、0歳児クラスの保育室に「トイレ環境が無い」またはトイレが保育室に隣接しておらず廊下を経由しないとトイレに行けないなど「保育室からトイレに直接出入りできない」という園は約45パーセントありました。
 
これは何を意味しているのでしょう。
 
0歳児クラスの子どもたちはトイレを使わないという前提で保育を行っている園が少なくないということです。
 
0歳児クラスには一般的に年度の初めは生後1か月半くらいから満1歳近い子どもが、年度の後半は満2歳に近い子どもまでが在籍しています。
 
トイレが無ければ「おまる」を使うか、おむつの中で用を足すかのどちらかになってしまいますが、0歳児保育室に「トイレ環境が無い」または「保育室からトイレに直接出入りできない」という園で「おまる」を使うと答えた園は半数以下でした。
 
トイレも無く、おまるも使わないとなると、おむつに頼るしかないことになりますね。
 
しかし0歳児クラスの子どもでもトイレ環境を整えてあげると満1歳頃には自ら便器に座ろうとし、用を足そうとします。
 
おむつに頼った保育を行っている園では子どもが主体的にトイレで用を足そうとする能力を無視していることになってしまいます。
 
不思議なことに子どもはおまるがあれば自らおまるに座りたがりますし、トイレがあればトイレに座りたがります。
 
おそらく月齢の高い他の子どもの行動を見ていて真似をするのでしょうが、おまるもトイレも両方揃っている環境ではおまるが使えるようになると必ずトイレに憧れて座りたがるようになります。
 
おむつに頼った保育を行っていると、保育者は「時間」や「おむつの状態」を目安に交換するタイミングを決めがちです。
 
たとえば外遊びが終わって保育室に戻ってきたとき、お昼寝から目覚めたときなどのタイミングでおむつをチェックしたり交換することを決めている園は多いと思いますが、それが一日のルーティンに組み込まれていて、半ば習慣的に行っている場合も少なくないのです。
 
それの何がおかしいのかって?
 
習慣になっていると何の疑問も感じない場合が多いでしょう。しかし「時間」や「おむつの状態」を目安にするということは子どものしぐさや表情に関心を払っていないということになるのではないでしょうか。
 
おむつに頼ると、「おむつが濡れているかどうか」を確かめようとしますがそれはあくまで「おむつのチェック」なのであって、子どもが排泄したいと思っているかどうかということには寄り添えていないのです。
 
「出そうなのかな?」「やりたそうにしているな」と保育者が感じて、声掛けをしてあげることが重要なのです。
 
子どもは自分のしぐさや表情を保育者が読み取ってくれることで「出る」という感覚を獲得してゆくのではないかと思います。
 
そしてそのことによって子どもと保育者の信頼関係も深まってゆくのではないでしょうか。

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アクトウェア研究所代表、常磐短期大学特任准教授、早稲田大学人間総合研究センター招聘研究員。乳幼児の発達心理学を専門とし、子どもの排泄行動などを研究テーマにしている。著書に絵本「うんぴ・うんにょ・うんち・うんご」「うんこダスマン」(ほるぷ出版)、「保育園は子どもの宇宙だ!トイレが変われば保育が変わる」(北大路書房)などがある。幼稚園、保育園の園環境のデザインや提案を行っており、特にトイレ空間が得意である。

[第1回~第21回執筆者]
十文字学園理事・十文字学園女子大学特任教授、筑波大学客員教授、お茶の水女子大学名誉教授、学術博士。発達心理学、認知心理学、保育学を専門とする。著書に『子育てに「もう遅い」はありません』(冨山房インターナショナル)など多数。