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グレース保育園(大分・中津市) 甲斐裕之
「きずな~24人のなかまとロボット作り~」
光の子どもに会いに行く
昨年の暮れ、大分県中津市のグレース保育園に、賞状と研究助成金を持って伺いました。
グレース保育園は新興住宅街の一角にある、広い敷地の園です。
入り口には「平和の鐘」があり、ここがキリスト教保育を行っている園であることがわかります。
ホールで贈賞式が行われました。
ふだんは楽な格好の甲斐裕之先生ですが、今日はスーツにネクタイ。子どもは驚き、先生方も珍しがっています。
「今日の甲斐先生は、格好いいでしょう」
司会の先生の言葉に、子どもたちから拍手がわき上がります。
でも私は知っています。
突っ込みどころのないスーツ姿ですが、靴下を忘れて、前園長先生のものを借りていたことを。
でもそれも含めて、甲斐先生の人柄がわかり、格好良かったですよ。
賞状を渡すときに、私はいつもふたつのことを気に掛けます。
ひとつは、この贈賞式を子どもたちにどうやって説明するかということです。
しかし、これは過去に「りんごの木」の青山誠さんが受賞したときに、園長の柴田愛子先生が子どもたちに語った内容を私は参考にしています。
「おじさんの会社はドラえもんとかの会社です。おじさんの会社が全国の先生たちに、『何かすてきなお話ありますかぁ』って聞いたんです。そうすると、全国から『こんないいお話がありますよぉ』ってたくさんの手紙をもらったんです。そんな手紙を、おじさんとおじさんの仲間たちが読んで、一等賞を決めました。それが甲斐先生のお話でした。4歳さんの『ちきゅうぐみ』がロボットを作る話でした。おじさんはとてもうれしくて、今日、ここに来て、先生にこういう紙(賞状)を渡しに来たんです」
子どもたちは納得してくれたようです。
もうひとつの気に掛けることは、研究助成金のこと。
「ここに入っている中身は、みんなには関係ありません」
といっても、子どもたちから「いいなあ」という声がホールに響きます。
過去の贈賞式でもそうですが、子どもたちというのはなぜか本能的に、白い袋の中身がわかるようです。季節柄、クリスマスプレゼントやお年玉を思い描くのでしょう、
贈賞式のあと、「ちきゅうぐみ」のみんながクリスマス・ページェントを演じてくれました。
ヨゼフにマリア、東方の三賢人、宿屋の夫婦に天使たち、国王とその家来、羊飼いと羊たち、みんな可愛く一生懸命。みんなの姿に光が射しています。
このページェントは、たったひとりのお客さんである私のために演じてくれたのでした。
なんとぜいたくなひと時でしょう。
子どもたちは甲斐先生のことが大好きです。甲斐先生のところにやって来たお客さんをもてなそうという心をとても感じました。
贈賞式のあとは、甲斐先生は通常保育に戻ります。
園庭で甲斐先生にまとわりつくように、子どもたちは遊びます。
私が園の門扉のところでお別れすると、甲斐先生は「平和の鐘」を鳴らしました。
子どもたちはロープを一緒に引こうと、先生の腕に鈴なりになっていました。