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中部学院大学・中部学院大学短期大学部附属 桐が丘幼稚園 細江菜都美

「A子と仲間をつないだダンボールハウス」

2013年度の「わたしの保育」は、残念ながら大賞の該当作品はありませんでした。
しかし佳作にしておくには惜しい2作品を、優秀賞として顕彰いたしました。
そのうちのひとつが、
中部学院大学・中部学院大学短期大学部附属 桐が丘幼稚園の
細江菜都美先生が書いた
「A子と仲間をつないだダンボールハウス」です。

じつは桐が丘幼稚園を訪れるのは、今回が2回目です。
前回訪れたのも、2011年度の「わたしの保育」の授賞式でした。その年もまた大賞作品がなく、優秀賞2作を選び、そのうちのひとつが桐が丘幼稚園の先生が書いた作品でした。
同じ園が2度も選ばれ、しかも「優秀賞」というのは、偶然とはいえ、不思議な縁を感じます。

1月10日(金)、授賞式は2年前と同じ、園のホールで行われました。
式の前に、先生のピアノに合わせて、5歳児がハンドベルの演奏をしてくれました。
作品に登場するA子ちゃんも、ほかのみんなと一生懸命に演奏しています。
思えば、2年前に訪れたときも、このハンドベル演奏のおもてなしを受けました。
そのときにピアノを弾いていたのが、今日の主役である細江先生とのことでした。
細江先生は子どもたちにいいます。
「今日はみんなの演奏を聴きに、東京からお客さんが来てくださいました」
広いホールのまん中にひとりだけ、椅子にすわり、子どもたちの演奏を独占できるなんて、なんという贅沢でしょう。本当にこの演奏を聴きにやってきたような気がします。

この園の子どもたちは、絵や俳句や書道など、さまざまな賞をもらう機会があり、大人である先生もまた賞をもらうということに、特別な説明はいらないようです。授賞式というものを理解している子どもたちです。
先生に賞状を渡すタイミングで、「おめでとう」「おめでとう」と、誰にうながされたわけでもなく、自然と声がかかります。
そして驚いたのは、私に向かって「ありがとうございました」ということです。
高橋良明園長先生はいいます。
「受賞作品のテーマもそうですが、うちの園ではともに生きる『共生の心』を大事にしています」
子どもたちは先生の授賞を自分のことのように喜んでいます。一輪車が乗れるようになった友達を、自分のように喜んで、園長先生に報告に来た子どものエピソードを教えてくれました。障がいがあってもなくても、みんな一緒に育ち合う、その園長先生の思いが、職員や子どもたちにしっかり伝わっているのを感じます。

園長先生にともなわれ、玄関で靴を履きます。
私を見つけて、細江先生のクラスの子どもたちが飛び出してきます。
「ありがとう」「ありがとう」と手を出してタッチを求めます。
細江先生が、あわてて子どもたちを制しますが、子どもたちは次々に手を差し伸べます。
「ありがとう」「ありがとう」

いい光景を見ました。
自分のことのように、他人の幸せを喜べる心。
これは大人でもなかなかもてません。
共生の心。
こちらこそ、ありがとうございました。

附記
このあと、高橋園長先生とまたまた「尚ちゃん定食」をいただきました。ボリュームたっぷり。ごちそうさまでした。

編集部 宮川 勉