トップZOOたん~全国の動物園・水族館紹介~第79回動物たちのつかみどころ

日本で唯一の動物園ライター。千葉市動物公園勤務のかたわら全国の動物園を飛び回り、飼育員さんたちとの交流を図る。 著書に『ASAHIYAMA 動物園物語』(カドカワデジタルコミックス 本庄 敬・画)、『動物園のひみつ 展示の工夫から飼育員の仕事まで~楽しい調べ学習シリーズ』(PHP研究所)、『ひめちゃんとふたりのおかあさん~人間に育てられた子ゾウ』(フレーベル館)などがある。

第79回動物たちのつかみどころ

訪れた施設:横浜市立金沢動物園
 
☆以下の記事は、2024/6/25の取材を中心に、以前の見聞等も交えて構成しました。
 
※四肢動物(陸上適応した脊椎動物)の肢についてのあれこれは、以下の先行記事もご覧ください。
「ビバリウムから『あし』を延ばして」
「つま先立てて狩りへ」
  
こんにちは、動物園ライターの森由民です。ただ歩くだけでも楽しい動物園や水族館。しかし、 動物のこと・展示や飼育の方法など、少し知識を持つだけで、さらに豊かな世界が広がります。そんな体験に向けて、ささやかなヒントをご提供できればと思います。
 
今回ご紹介する動物:シロテテナガザル、コアラ、アオバネワライカワセミ、モモイロペリカン、タンチョウ、ウマ(ポニー)、ヒガシクロサイ、インドサイ、ベアードバク、スマトラトラ、リカオン、オオカンガルー、スーチョワンバーラル、オカピ、キリン、インドゾウ
  

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シロテテナガザル。金沢動物園で飼育展示されている唯一の霊長類です。その手足を見ると、親指(第1趾、以下、適宜「指」等の表現を用います)が他と向き合う拇指対向性であることがわかります。これは枝を把握するのに役立ち、樹上生活への適応です。
 
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テナガザルはその名の通りの長い腕で枝からぶら下がり、体を振り子のように揺らしながら次々と飛び移っていく腕渡り(ブラキエーション)を行うので、前肢では(つまり、手では)親指が大きく離れてついており、枝に残り4本の指先だけをひっかけて移動します。しかし、拇指対向性という基本構造は、わたしたちヒトとも共通しています。
 
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一部の指が他の指と向き合う構造は哺乳類の中でも霊長類に特異なものと言えますが、まったくちがう進化系統の有袋類でもコアラなどは枝葉をつかむ指の構造が見られます。
 
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もっともコアラの場合、前肢では第1・2趾の2本が他の3本と対向していますし、後肢では対向するのは第1趾のみですが、第2・3趾が先端以外癒合しているという独特の特徴を持ちます。
コアラは霊長類同様、樹上生活への適応として手足(前後肢)の指の対向が発達したと考えられます。このようにもっぱら似通った環境条件への適応から、まったく別の進化系統の生きものの間で同一の形態や性質が見られるようになることを「収斂進化」と呼んでいます。コアラと霊長類で対抗する指の種類等が異なるのは、それらがそれぞれ別の系統の進化の産物であることを示しています。
 

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鮮やかな羽の照りを示すアオバネワライカワセミ。鳥類は現生唯一の恐竜の系統であり、つまり大きくは爬虫類の一種ですが、その後肢にも拇指対向性が認められます。鳥類の祖先にあたる恐竜の一系統マニラプトル類では前肢に拇指対向性が見られる種があり、それを用いて餌探しなどを行っていたのではないかともされています。
しかし、鳥類は前肢を飛行のための翼に特化しました(※1)。後肢の拇指対向性は、枝にとまることにとどまらず、鳥類のそれぞれの種の生活での把握機能の役割を担っていると考えられます。
 
※1.鶏の手羽先などを丁寧にほぐすとわかりますが、現生の鳥の翼にも第1~3趾の痕跡は残っています。子どもたちにお話しするときなどは「ヒップホップのひとのイエ~♪だね」と言っています。
 

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しかし、後肢の把握機能を持たない鳥類もいます。金沢動物園の昔からの「顔」のひとつ、モモイロペリカンの「ワカメ」に登場してもらいましょう(ワカメは野生由来の個体として2005年に来園しました。このため年齢は不詳です)。水かきが発達したペリカンの足にも対抗的な親指は見られますが、機能的ではありません。これはペンギンなども同様で、これらの鳥類は泳ぐことに特化した後肢を進化させていると言えるでしょう。
一方で、ペリカンの独特なくちばしのありようも注目されます。ペリカンのくちばしは下側が袋状になっており、くちばしを大きく開いて、この袋状の構造をたも網のように使い魚を捕らえます。さらに、上のくちばしの先端はかぎ状になっており、くちばしを閉じたままで顔を傾けると、下のくちばしの脇から水だけが流れ出て、目当ての魚が残ることになります。
このようにくちばしもしばしば、鳥類にとっては「手」を代替するものとしての性格を担っていると言えます。
 

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ツルのなかまも後肢の第1趾が退化しており、木にはとまれません(※2)。
 
※2.例外的に、カンムリヅル類だけは後肢に機能的な拇指対向性が見られ、木にとまる姿も観察されます。
 

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こちらも古くからの園のメンバーであるタンチョウのタイラ(今年で33歳)。ツルのくちばしは水中や土中の餌を探って捕らえるのに役立ちます。金沢動物園でも池にドジョウを放すなどして、タイラの日常を豊かにする工夫をしています。
 

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さらに、鳥類一般の特徴として、くちばしは羽づくろいにも役立ちます。
なお、前掲の写真でペリカンのワカメは、くちばしの届かない部位を後肢で掻いています。
 

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さて、金沢動物園は「世界の希少草食動物を中心に飼育」というコンセプトを掲げています。ここまで見てきたテナガザルやコアラも草食(植物食)の哺乳類に属します。
しかし、草食哺乳類と言えば、何といっても「有蹄類」つまり蹄を持つものたちが主流となります。
中でもウマは草原のイネ科植物を主食とする進化をなしてきた動物と言えます。
 

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ウマは一本指ですが、これは第3趾つまり中指です。ウマ科を含むグループは奇蹄目と呼ばれますが、それらはすべて中指に重心をかけるかたちで立っています。

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こちらも奇蹄目のヒガシクロサイ。先のとがったくちびるで、器用に葉をつまんで食べます。蹄の肢はものをつかんだりつまんだりすることはできませんが、たとえば、クロサイはこのようなかたちでくちびるがその機能の一端を担います。
ウマもまた、とても柔らかいくちびるをしており、それを活かして草を集めながら、しっかりとした切歯(前歯)で嚙み切ります。クロサイのみならずウマが牧草などを食んでいる時にも、口元に注目してみてください。
 

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サイ科は指が3本ですが、これも第2~4趾で、重心は中指に来ています。
既に記したように蹄の肢はものを操作するには不向きですが、代わりに長時間ないしは高速で進むのには適しています。そして、同じ筋力で走るなら、足の指の数を減らして蹴る力を集中した方が適応的であると言えます。こうして、中指に重心を持つ奇蹄目では、一本指のウマが進化してきたと考えられます。
 

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金沢動物園には、インドサイもいます。ゆったりと水場につかるメスのナラヤニ。くちびるなどはクロサイによく似ていますが、インドサイはサイ類のなかでも特に湿地や水場を好むことが知られています。金沢動物園の展示場も、そんなインドサイの、湿った柔らかい土に適応した足にやさしいように、葉の混じった土を敷き詰めるなど、さまざまな飼育的工夫がなされています。
 

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現生の奇蹄目は3つの科から成りますが、その3番目はバクのなかまです。バク科は東南アジアのマレーバク(現生バク科の最大種、ズーラシアで飼育展示)のほか、中南米に3種が分布しますが、ベアードバクの生息地は中央アメリカ南部の熱帯雨林など湿気のある地域です。
ベアードバクの展示は国内では金沢動物園だけです。このオスのアグアがその貴重な個体ということになります(同園のバックヤードでは、もう1個体のオス・ファビオが非公開飼育されています)。
 

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(2012/8/29取材時に撮影)
バクも後肢はサイと同じ3本指ですが、前肢にはご覧の通り、やや浮くようにして第5趾(小指)があります。前肢についても重心は中指ですが、この小指は湿った柔らかい地面に足を置いて大きく沈み込んだ時に、最後のストッパーになるのではないかと考えられています。バクはひょこひょこと独特の歩き方をしますが、足跡を見ると前足の踏み跡を後ろ足が辿っていると思われ、これはストッパーのある前足で安全を確認しながら進んでいるのではないかとも思われます。
 

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スマトラトラ(ズーラシア、2023/12/27)撮影
突然ですが、片方の掌を上に向けて伸ばし、その上にもう片方の掌をパンッとしてみてください。これがわたしたちの歩き方です。把握力にすぐれた霊長類の柔らかい足では(※3)、こうやって足の裏全体で地面(ここでは下の掌)を踏み歩くのが安定した移動法になります。
これに対して、先ほどの上の掌を完全に垂直に立てて、指先だけを地面につけるのが「有蹄類」の移動法です。指の数を減らし、蹄で指先をしっかりと固め、そこに力を集中するのです。把握能力は捨て去られます。
そして、これら両者のいわば中間が食肉目の移動法です。もう一度、今度は上の掌の指全体を下の掌(地面)に押し付けてみてください。わたしたちなら爪先立ちはこれに当たります。つまり、柔らかい足の霊長類でも早く走ろうとすれば、このかたちになるということです。多くの食肉目は狩りをします。そのためには素早く動き、飛びかかったり追いかけたりしなければなりません。しかし、獲物に対して、鋭いかぎ爪で攻撃することも必要です。これらの条件をかけ合わせるなら、食肉目の立ち歩きがこのようなかたちになっているのも、まったく適応的なのがわかるでしょう。
 
※3.直立二足歩行に特化したヒトの場合、足(後肢)でものはつかめませんが。
 

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リカオン(ズーラシア、2021/4/19)撮影
もっとも、たとえばイヌ科のリカオンなどでは、同じ食肉目でも足の指の自由度は低くなっています。オオカミを典型とするような野生イヌの群れでの狩りは、連携しながら獲物を長距離にわたって追跡する傾向があり、そういったこととの関連もうかがわれますが、ならばタヌキは、キツネは……と興味深い問いは続くことになります。より幅広い比較と綿密な考察が必要でしょう。
 

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寛ぐオオカンガルー。後肢はこれで足の裏全体が接地するかたちとなります(逆に曲がった膝のように見えるのが踵に当たります)。ゆっくりした移動では、こうして前肢をつきながら、揃えた後肢を前に進めます。
 

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しかし、高速で跳ねる際には指に当たる部分だけが地面に着き、足の裏を含めての長さを活かした後肢の「てこの原理」で推進力を生み出します。カンガルーたちも、わたしたちや食肉目と同様に爪先立ちで走るのです。
 

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ここでもまた、有袋類の独自性。カンガルーでは一般に後肢の第1趾(親指)を欠きます。また、コアラと同様に第2~3趾(人差し指・中指)が癒合しています。さらに第4趾(薬指)が特に大きくなっており、ここに重心が来ます。
なお、前肢に指の対向性はありませんが、5本の指はかなり柔らかく、餌になる枝葉などをつかんで引き寄せるといったことができます。
 

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金沢動物園では、メスのオオカンガルーたちが放し飼いになっているなかをウォーク・スルーできます。カンガルーたちの生活のリズムになじみながら、ゆっくりと観察してみましょう。
 

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「有蹄類」の例として奇蹄目を見てきましたが、偶蹄目として分類されてきた動物たちは現生では奇蹄目を大きく上回る10以上の科を含み、金沢動物園でも多くの偶蹄目と出逢うことができます。
このスーチョワンバーラルは険しい山岳地帯に棲みます。「スーチョワン」は「四川」の北京語読みで、その名の通り、中国中部から南西部の四川省・陝西省に分布し(他にチベット~ヒマラヤ山脈にも別亜種が生息)、中国名は「岩羊」(イェンヤン)と言います。スーチョワンバーラルは岩場でも巧みにバランスをとって見事な跳躍をすることが可能です。
 

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これがスーチョワンバーラルの蹄です。偶蹄目の有蹄動物では重心は第3・4趾にかかります。スーチョワンバーラルも普段はこの2本の指で活動しています。しかし、よく見るとさらに、宙に浮くかたちで第2・5趾もあるのがわかります。これを副蹄と言います。ウシなどでは、既にお話ししたバク同様に副蹄は柔らかい土に足がめり込むのを防ぐストッパーと見なせます。しかし、スーチョワンバーラルの場合は、急斜面や岩場などでの滑り止めと考えるべきでしょう(※4)。
偶蹄目のなかでもカバは、常に第2~5趾の4本を地面に着けています。もとより重心は第3・4趾にかかります。
 
※4.これはヤギにも当てはまると考えられます。急勾配や岩場に適応したヤギ本来の能力を引き出した展示については、こちらをご覧ください。
「あさひやま行動展示見学記」
 
さて、以上のように記してくると、いかにも「有蹄類」というまとまった進化系統があり、その中に奇蹄目や偶蹄目が含み込まれているように思われるでしょう。
しかし、近年の分子系統学(遺伝子の分析によって進化系統を考える科学)では、奇蹄目はむしろ食肉目と近縁と見なされています。また、イルカやクジラすなわち鯨類は、偶蹄目のなかのカバの系統からの枝分かれとも見なされているのです。このため、現在では鯨偶蹄目というまとまりが立てられています。
 
つまり、次のような系統図が成り立ちます(この系統図の範囲でも、さらに派生する別の動物群がいることが論じられていますが、あまりに複雑になるのでここでは割愛します)。
 

有蹄類をめぐる系統図_1
ここでも環境に合わせつつ、系統の隔たりを超えて似たありさまがあらわれたり、近縁なものどうしが思いがけないほどのちがいを見せたりしており、生きものの進化が系統のつながりあいと環境適応の絡み合いで成り立っていることがわかります。
 

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緑深いなかにたたずむ不思議な姿。
 

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オカピはキリン科で、コンゴの「イトゥリ」と呼ばれる森にのみ生息しています。キリン類の祖型に近いありさまを遺しているのがオカピで、わたしたちがよく知るキリンたちはサバンナ適応のなかであのような姿に進化したとされています(※5)。蹄は第3・4趾の2本です。
オカピは森で暮らし、他のキリンのような際立って長い首は持ちませんが、他のキリン同様に枝葉を巻き取る長い舌を持っています。
金沢動物園のオカピ・キィアンガは日本最初のオスのオカピです。1996年にアメリカのサンディエゴワイルドアニマルパーク(現在のサンディエゴ動物園サファリパーク)で生まれ、1997年にメスのレイラとともによこはま動物園ズーラシアに来園しました。キィアンガはレイラとのペアで繁殖に貢献した後、2012年に金沢動物園に移りました。オカピという名は現地のことばで「森の馬」を意味すると言いますが(実際は鯨偶蹄目)、さきほどの写真のように現在のキィアンガはその名にふさわしい環境でのんびりと過ごしています。
 
※5.オカピが「原始的」という意味ではありません。ごく大づかみに言えば、アフリカの森とサバンナに枝分かれしたキリン科の系統が、オカピと他のキリンにそれぞれ進化したということです。キリン類は現在のアフリカ大陸起源ではなく、大陸移動の地球的歴史などを経ながら、ユーラシア大陸側から渡ってきたとされます。そして、ユーラシア大陸側での進化の時代から、さまざまな系統が生まれたり途絶えたりしており、その中の一系統としてのキリン科のみが、アフリカ大陸でいまのありように至っているというのが現在の科学的認識です。
 

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サバンナに適応したキリン類では、オカピと共通の長い舌に加えて、長い首も高所の枝葉の採食に役立っています(※6)。また、大型化した体に対して、この長い首は地面や水場などにアプローチするのにも適応していると見なせます。
オカピやキリンを見ると、それらの舌や首が、歩行・走行に特化した足の把握機能等を補っていると解釈できるように映ります。
※6.キリンの首が伸びたのが、主にどんな環境適応に拠るのかは、現生のキリンが行うオスどうしが首をぶつけ合う性的競り合いを要因とする説を含め、いまだにさまざまな吟味が続いているところです。
 

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最後にインドゾウです。ゾウ(長鼻目)も昔から「原始的な有蹄類」と見なされてきました。ゾウの踵には脂肪等のクッションが発達しており、骨格的には奇蹄目・(鯨)偶蹄目に似た「指先立ち」に近いものとなっています。
しかし、既に述べた「有蹄類」というまとまった進化系統は成り立たないという現在の科学的認識のお話の延長として、長鼻目は奇蹄目や鯨偶蹄目に対して、霊長目以上に遠い関係にあります。ここでも見た目と系統関係を混同してはならないのです。
ゾウはキリンを上回る巨体ですが、同時に全体のフォルムもどっしりとしており、おしなべて細身のキリンのような長い首の進化ではなく、その名の通りの「長い鼻」が、ものをつかんだり操ったりの機能を担っていると見なせます。
 

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鼻はゾウどうしのコミュニケーション・ツールでもあります。オスのボンとしては、メスのヨーコのハートもつかみたいところでしょうか。
 
金沢動物園のさまざまな系統の動物たちを「肢の機能」に注目して観察しながら、あらためて進化の織り成す豊かなストーリーの一端を考えてきました。「掌(たなごころ)を指す」というのは自分にとってその物事が隅々までよくわかっているという喩えですが、わたしたちは本当に自分の「手」を理解しているのでしょうか。今回登場したのは鳥類を含め、すべて四肢動物(陸上性の脊椎動物)です。繰り返しながら、鳥の翼も前肢ですし、鯨類は二次的に水生適応していますが、その前肢にも指の骨はあり、決して「ひれ」ではありません。紙幅の都合でご紹介しませんでしたが、金沢動物園には「身近ないきもの館」も設けられており、そこではカエルやイモリといった両生類、ヘビ・トカゲなどの爬虫類も飼育展示されています。これらも含めての四肢動物を比べ合わせることで、わたしたちはあらためて新鮮な想いと認識のなか、自分たちの手足を見返し、把握しなおすことができるでしょう。
 
動物園でつかみましょう。
  
写真提供:森由民
 
横浜市立金沢動物園

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