[児玉ひろ美]
JPIC 読書アドバイザー
台東区立中央図書館司書。日本全国を飛び回って、絵本や読み聞かせのすばらしさと上手な読み聞かせのアドバイスを、保育者はじめ親子に広めている。鎌倉女子大学短期大学部非常勤講師など、幅広く活動。近著に『0~5歳 子どもを育てる「読み聞かせ」実践ガイド』(小学館)。
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第87回「耳からの読書を楽しめる本」
「耳からの読書」という言葉に?と思われた方もいることでしょう。識字以前の子どもは、声による言葉を通して物語の楽しさを知ります。そう、赤ちゃんから始まる絵本体験の積み重ねを通した、目で絵を読み、耳で言葉を聞く体験が、「耳からの読書」なのです。耳からの読書をたっぷり楽しんだ子どもは、やがて、自ら読む楽しさへと、歩みを進めます。暑かった夏もあと少し。もうすぐ読書の季節を迎えます。今回は、秋の始まりにお勧めの「耳からの読書を楽しめる本」を集めてみました。
【耳からの読書を楽しめる本】
『やまなし』宮沢賢治:作/田原田鶴子:絵/小学館/2015.4/4歳から
小学校6年生の教科書に掲載されていますが、言葉からイメージを膨らませるという意味では、幼児期に耳からの読書で出会うのも楽しいように思います。説明を加えず。子どもの自発的な言葉に耳を傾け、会話を弾ませてください。よくわからないままでもいいのです。
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『モチモチの木』斎藤隆介:作/滝平二郎:絵/岩崎書店/1971.11/5歳から
どなたでも1回は読んだことのある絵本なのでしょう。幼く小くて臆病な豆太が、大好きなじさまのために、勇気を奮い立たせて暗闇に飛びだすさまは、子どもたちの心を捉えます。必要以上に劇的にならないよう、切り絵の美しさを堪能しつつ、穏やかに読んでください。
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『いっすんぼうし』 いしい ももこ :文/ あきの ふく :絵/福音館書店/1965.12/4歳から
春の絵本として紹介されることも多い作品ですが、長いお話を聞くことに慣れてきたら、小学校入学までに是非読んであげたい1冊。小さな一寸法師が大きな鬼を退治する物語に、子どもたちはワクワクドキドキ。深い満足感が得られます。
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『バスが来ましたよ』由美村嬉々:文/松本春野:絵/アリス館/ 2022.06 /4歳から
「これ本当のお話?」お子さんに問われた経験のある方も多いのでは? 子どもたちは本当のお話か否かが、とても気になるようです。これはその本当のお話です。小学生のさきちゃんたちがかける「バスが来ましたよ」の言葉が、病気で全盲になった山崎さんの通勤を、10年以上も支えました。
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『ピースケのいえで』たかどのほうこ:作/童心社/2023.09/3歳から
みどちゃんの手提げの中に、なぜか、のぶちゃんの大切なぬいぐるみのウサギ・ピースケが入っていました。いったいどうしたのでしょう? ぬいぐるみが会話をしたらきっとこんな感じと思える、日常の少し横にある不思議な世界。絵本に慣れている子どもたちが馴染みやすい、横書きの幼年童話です。
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『エルマーのぼうけん』ルース・スタイルス・ガネット:作/ ルース・クリスマン・ガネット :絵/ わたなべ しげお :訳/福音館書店/1963.07/5歳から
小学校3年生の教科書でお馴染みの物語ですが、作品としても、日本で60年以上読み継がれている超ロングセラー。読んであげれば、驚くほどの集中力で聞き入ります。一気に読むのではなく、毎日少しずつ継続して、一緒に冒険を楽しむように読んでください。
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