トップ十人十色の育ち方~どの子にもうれしい子育てのはなし~第6回発達障害のある子どもや気になる子どもへの工夫②

横浜国立大学大学院教育学研究科修了。修士(教育学)、特別支援教育士、日本ムーブメント教育・療法協会認定常任専門指導員。現在、鶴見大学短期大学部保育科准教授、北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科非常勤講師。女優東ちづるさんが理事長を務める一般社団法人Get in touchの理事としても活動。障がいのあるなしにかかわらず、どの子にもうれしいまぜこぜの保育をめざし日々幼稚園や保育所、こども園へ出向き奮闘中。

第6回発達障害のある子どもや気になる子どもへの工夫②


子どもはいろいろ、文字通り「十人十色」。
子どもの「できない」ことに目を向けるのではなく、今「できている」ことに注目してみることが肝心です。
このシリーズでは、子育ての中で思わず「あるある!」と感じる、子どもたちのいろいろな行動について、
周りの大人はどのように寄り添えばいいのか、紹介します。

 
前回は、発達障害のある子どもたちや気になる子どもたちが生活しやすくなるために『スモールステップ』で目標をたて、発達や成長に合わせたサポートについてお伝えしました。今回は、言葉で理解できない時の対応方法について考えてみたいと思います。
 
発達障害のある子どもや気になる子どもだけでなく、まだ言葉の理解がむずかしい子ども、意思の疎通ができないと互いにイライラが募ってくることがありませんか?我が家もそうでした。「今観ている番組が終わったらテレビおしまいね。ハミガキしようね。」「うん。」という夜の妻と子どもの会話。番組が終わってテレビを消そうとすると「いやだ!!まだみたい!!」「だめ!さっきお約束したでしょ!」の繰り返しでした。3歳になって言葉の理解もできていると思って接していましたが、自己主張もできるようになってヒートアップ。そこで我が家では、夜のひと悶着を解決するために絵カードを作りました。
 
絵カードは、好きな番組のキャラクターの絵を数枚と、ハミガキの絵を1枚、トイレの絵を1枚、寝る絵が1枚です。子どもが「○○観たい!」と言ったら、番組の絵を何枚かとその他の絵を用意します。子どもの前に並べて「今日は〇〇を2回観ていいよ。あとはハミガキとトイレと寝んねだよ。どれからにしようか?」と子どもに選んでもらい、選んだ絵カードは妻に渡します。「1枚もらったから○○はあと1枚ね。」と確認していきます。当然テレビからスタートです。1つの番組が終わったら、「次は何にしようか?」とその都度子どもに選んでもらいます。当然テレビを選ぶのですが、ここでも「これ観たらもう〇〇のカードはないからもうおしまいだよ。」と伝えます。最初はカードがなくなってもテレビを観たがってスムーズにハミガキに進むことはできませんでしたが、何日かしたらカードがなくなればテレビもおしまいになるということを理解できるようになり、自分から最後の番組の絵カードを渡しながら「これで最後ね。」と言ってハミガキに進めるようになりました。
 
どうしてテレビを見続けることができないのか、まだ言葉で説明するだけでは理解できない子どもに対して、絵カードなどを使用して視覚から理解してもらうという方法が有効です。一日の流れを絵で示しておいたり、触ってほしくない場所には「×印」を書いた紙を貼ったりすることもいいですね。次にしなくてはいけないことがあらかじめわかっていると、子どもも戸惑うことなく安心して行動にうつすことができるようになるのです。

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横浜国立大学大学院教育学研究科修了。修士(教育学)、特別支援教育士、日本ムーブメント教育・療法協会認定常任専門指導員。現在、鶴見大学短期大学部保育科准教授、北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科非常勤講師。女優東ちづるさんが理事長を務める一般社団法人Get in touchの理事としても活動。障がいのあるなしにかかわらず、どの子にもうれしいまぜこぜの保育をめざし日々幼稚園や保育所、こども園へ出向き奮闘中。