トップZOOたん~全国の動物園・水族館紹介~第13回 ウミヘビ・カナヘビ・ヘビトカゲ

日本で唯一の動物園ライター。千葉市動物公園勤務のかたわら全国の動物園を飛び回り、飼育員さんたちとの交流を図る。 著書に『ASAHIYAMA 動物園物語』(カドカワデジタルコミックス 本庄 敬・画)、『動物園のひみつ 展示の工夫から飼育員の仕事まで~楽しい調べ学習シリーズ』(PHP研究所)、『ひめちゃんとふたりのおかあさん~人間に育てられた子ゾウ』(フレーベル館)などがある。

第13回 ウミヘビ・カナヘビ・ヘビトカゲ

こんにちは、動物園ライターの森由民です。ただ歩くだけでも楽しい動物園。しかし、 動物のこと・展示や飼育の方法など、少し知識を持つだけで、さらに豊かな世界が広がります。そんな体験に向けて、ささやかなヒントをご提供できればと思います。

 ・今回ご紹介する動物:エラブウミヘビ・ホタテウミヘビ・ダイナンウミヘビ・ニホンカナヘビ・ニホントカゲ・ヨーロッパヘビトカゲ・シマヘビ・ヒガシアオジタトカゲ

 

・訪ねた動物園:神戸市立須磨海浜水族園・浜名湖体験学習施設ウォット・愛媛県立とべ動物園・広島市安佐動物公園

 

※水族館も、広い意味での動物園の一種と捉えています。

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神戸市立須磨海浜水族園。エラブウミヘビは日本の琉球列島沿岸・台湾等からオーストラリア北部に及ぶ海域に分布し、海中での生活に適応したヘビです。

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御覧の通り、尾の先端も魚類の尾びれに似たかたちになっています(隣は抜け殻です)。

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しかし、爬虫類である以上、呼吸のために水面から顔を出します。また、陸に這い上がって休息し、洞窟などで産卵します。

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一方、こちら(一番左)はホタテウミヘビ。浜名湖体験学習施設ウォットの水槽の中です。さらに砂から顔を突き出している生物にも注目です。

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これはダイナンウミヘビです。ホタテウミヘビもダイナンウミヘビもその細長い姿から「ウミヘビ」と呼ばれますが、実はヘビ(爬虫類)ではありません。広い意味でのウナギ類(魚類)なのです(※)。エラブウミヘビと比べると頭の大きさやかたちがちがうだけでなく、エラ呼吸をしますし、背びれや胸びれもあります。

 ※この水槽では他に2種のアナゴ(やはりウナギのなかま)が同居しています。

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さらに、この写真は愛媛県立とべ動物園のニホンカナヘビです(※)。カナヘビは御覧の通りにトカゲのなかまですが……

※以下、とべ動物園の写真はすべて2015/4/14撮影です。

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 こちらもとべ動物園のニホントカゲです。ぷりぷりとした姿です。比べると、ニホンカナヘビはスリムで鱗がざらついた印象で、尾も細長くなっています。このあたりがカナヘビに「ヘビ」という名がつくようになった由来かとも思われます。

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赤ちゃんカナヘビは、あどけない様子も見せてくれますが。

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最後に広島市安佐動物公園にところを移して、こんな動物を観察してみましょう。これもヘビの一種でしょうか。

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顔に注目です。なにかヘビとはちがった印象がありませんか。

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こちらは同じ「はちゅうるい館」のシマヘビです。さきほどの動物の顔と見比べると、まぶたも耳の穴もないのがわかりますね。これがヘビの特徴なのです。

では、さきほどの動物はと言えば、その名もヨーロッパヘビトカゲ。アシナシトカゲ科の一種で、あくまでもトカゲのなかまなのです。

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ヨーロッパヘビトカゲに隣接するスペースのヒガシアオジタトカゲ。まぶたを閉じて、お休み中です。

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 最後にエラブウミヘビの抜け殻を確認です。ヘビ類はまぶたの代わりに鱗が目を覆って守っています。そんなわけで抜け殻でも目の鱗が確認できます。

 

トカゲの昼寝・ヘビの脱皮、それもまた、生きた動物を飼育展示する動物園ならではのひとコマであり、学びの機会と言えるでしょう。

 

動物園に行きましょう。

 

☆今回取材した園

 

◎エラブウミヘビに会える動物園

神戸市立須磨海浜水族園

公式サイト http://sumasui.jp/

 

◎ホタテウミヘビ・ダイナンウミヘビに会える施設

静岡県水産技術研究所 浜名湖分場 浜名湖体験学習施設 ウォット浜名湖体験学習施設ウォット

公式サイト http://www.orange.ne.jp/~ulotto/

 

◎ニホントカゲに会える動物園

愛媛県立とべ動物園

公式サイト http://www.tobezoo.com/

※ニホンカナヘビは現在展示されていません。当園でもシマヘビを飼育展示しています。

 

◎ヨーロッパヘビトカゲ・シマヘビ・ヒガシアオジタトカゲに会える動物園

広島市安佐動物公園

公式サイト http://www.asazoo.jp/

 

写真提供:森由民

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