[児玉ひろ美]
JPIC 読書アドバイザー
台東区立中央図書館司書。日本全国を飛び回って、絵本や読み聞かせのすばらしさと上手な読み聞かせのアドバイスを、保育者はじめ親子に広めている。鎌倉女子大学短期大学部非常勤講師など、幅広く活動。近著に『0~5歳 子どもを育てる「読み聞かせ」実践ガイド』(小学館)。
第59回「平和への願いをこめた絵本」
ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから、図書館でも平和への願いをこめた絵本が多く求められています。その一方で、願うだけでは戦争は止められないというweb上での発言もありました。それでも、今、平和を言葉にして子どもと一緒に考える時間を持つことは、必要なことと私は思います。子どもたちが育ちゆく未来に戦争のない世界を築くためにも、今、一緒に考えることが大切なのです。
「同じ時間に…」
『ぼくがラーメンたべてるとき』長谷川義史:作 教育画劇 4歳〜
ぼくがラーメンを食べているとき、同じ地球の同じ時間に、さまざまな生活を送る子どもがいることを描いた作品ですが、説明は一切ありません。子どもは子どもなりに、自分が知っていることを総動員して何かを感じることでしょう。子どもの言葉では言い表せない、心の動きもあります。くれぐれも質問魔や解説魔にならぬよう、気を付け、寄り添ってください。
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『せんそうがやってきた日』ニコラ・デイビス:作 レベッカ・コッブ:絵 長友恵子: 訳 鈴木出版 小学生~
窓辺に花が咲き、お父さんは弟に子守唄を。お母さんは私の鼻にキス。私は学校で授業を受け、ランチタイムが終わると…、戦争がやってきました。こんな風に戦争は突然やってきて、すべてを吹き飛ばし、私の家があった場所を黒い穴にし、そして…。
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「平和について」
『へいわってどんなこと?』浜田桂:作 童心社 5歳〜
「戦争をしない」「爆弾なんか落とさない」「大好きな人にそばにいてほしい」簡潔でわかり易いことばで具体的に平和を考えます。以前だったら想像も及ばぬ事柄が、今は現実味を伴って子どもたちの心に届くことでしょう。それゆえ、お子さんが文字を読めても、一人読みをさせることなく、親子で一緒に読んでほしいと願います。
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『へいわとせんそう』たにかわしゅんたろう:文 Noritake:絵 ブロンズ新社 4歳〜
遊んでくれる「へいわのチチ」と戦闘服姿の「せんそうのチチ」のように、同じ人物や物事を、左右のページで「へいわ」な時と「せんそう」の時に並べて見せます。報道番組などで見たさまざまな映像とリンクしてしまうページも多々。
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「世界を素敵な場所にするために」
『せかいでいちばんつよい国』デービット・マッキー:作 なかがわちひろ:訳 光村教育図書 小学生~
大きな国の大統領が「せかいじゅうの 人びとを しあわせにするため」にと、さまざまな国へ戦争をしにいきました。やがて征服されていないのは小さな国がたった一つになりました。ところが、その国は兵隊はおらず、なんだか大きな国を歓迎しているようにも感じます。大きな国と小さな国の人々は一緒におしゃべりをし、歌をならい、一緒に働くように…。いったいどうしたことでしょう?
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『いっしょにおいでよ』ホリー・M・マギー:文 パスカル・ルメートル:絵 中川ちひろ:訳 廣済堂あかつき 5歳〜
女の子がテレビのニュースを見ていると、「たくさんのひとたちが にらみあって おこっている。」女の子は両親に尋ねます。「こんなのっていやだ。どうしたらいいの?」すると、「いっしょにおいで」と、お父さんは女の子を地下鉄の駅に連れて行き、世界を素敵なところにするために、できる小さなことを実践し始めます。
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