トップ十人十色の育ち方~どの子にもうれしい子育てのはなし~第5回発達障害のある子どもや気になる子どもへの工夫①

横浜国立大学大学院教育学研究科修了。修士(教育学)、特別支援教育士、日本ムーブメント教育・療法協会認定常任専門指導員。現在、鶴見大学短期大学部保育科准教授、北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科非常勤講師。女優東ちづるさんが理事長を務める一般社団法人Get in touchの理事としても活動。障がいのあるなしにかかわらず、どの子にもうれしいまぜこぜの保育をめざし日々幼稚園や保育所、こども園へ出向き奮闘中。

第5回発達障害のある子どもや気になる子どもへの工夫①


子どもはいろいろ、文字通り「十人十色」。
子どもの「できない」ことに目を向けるのではなく、今「できている」ことに注目してみることが肝心です。
このシリーズでは、子育ての中で思わず「あるある!」と感じる、子どもたちのいろいろな行動について、
周りの大人はどのように寄り添えばいいのか、紹介します。

 
幼児期は集団生活が始まり、何らかの生活のしづらさが見られる時期でもあります。特に発達障害のある子どもたちは、周りの子どもや大人とのかかわり方に、保護者や保育者は本人とのかかわり方に悩んでいることがあります。初めての集団生活である幼稚園や保育所において、どのような工夫をしてあげれば発達障害のある子どもたちや気になる子どもたちが生活をしやすくなるのでしょうか。
 
新学期等、新しくスタートする時期には、発達障害のある子どもや気になる子どもの保護者に対して聞き取りが行われます。聞き取りには、子どもの好きなこと、嫌いなこと、苦手なこと、困っていること、身辺自立はどのくらいできているかなどについて記入するプロフィールシートがあります。プロフィールシートを活用することは、その子どもの理解を深めるきっかけとなり、保護者の気になっていることやその子どもに対して支援や配慮が必要と感じる部分が保育者に伝わります。
 
また、プロフィールシートを基に保育者がアセスメントシートを作成します。アセスメントシートは、身体面、生活面、対人・コミュニケーション面において、どのくらい発達しているのか、どのくらい支援が必要なのかを評価していきます。このプロフィールシートとアセスメントシートが個別支援計画に反映され、幼稚園や保育所における子どもへの支援や保護者への支援の方向性が決まってくるのです。
 
個別支援計画は発達障害のある子どもや気になる子ども一人ひとりに対して作成されます。その子どもが1年間の園生活で達成できるものを目標とし、今できそうな行動に注目します。できないことをそのままにして次に進むのではなく、「できない理由は何か」「できるようにするにはどこを変えていけばいいのか」を考え直し、その都度指導計画に反映させていきます。
 
ここで大事なのは、『スモールステップ』です。一度に高い目標を掲げていくのではなく、少しずつ段階を踏んで目標をクリアしていき、最終的に高い目標に到達しクリアできるようにすることです。発達の違いを考慮し成長を捉えたうえで、子どものペースに合わせ無理なく成長していけるようにサポートしてあげましょう。
それぞれの時期にふさわしい生活を展開し、子どもたちが興味・関心をもって活動に取り組めるように見守り、受け止めてあげられるといいですね。

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横浜国立大学大学院教育学研究科修了。修士(教育学)、特別支援教育士、日本ムーブメント教育・療法協会認定常任専門指導員。現在、鶴見大学短期大学部保育科准教授、北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科非常勤講師。女優東ちづるさんが理事長を務める一般社団法人Get in touchの理事としても活動。障がいのあるなしにかかわらず、どの子にもうれしいまぜこぜの保育をめざし日々幼稚園や保育所、こども園へ出向き奮闘中。