[児玉ひろ美]
JPIC 読書アドバイザー
台東区立中央図書館司書。日本全国を飛び回って、絵本や読み聞かせのすばらしさと上手な読み聞かせのアドバイスを、保育者はじめ親子に広めている。鎌倉女子大学短期大学部非常勤講師など、幅広く活動。近著に『0~5歳 子どもを育てる「読み聞かせ」実践ガイド』(小学館)。
第76回「神話の絵本」&「世界を知る絵本 その4 ハロウィンを楽しむ絵本」
陰暦では10月を「神無月(かんなづき)」と呼びます。日本中の神様が、出雲の国(島根県)に集まり会議をするので、神様が地域にいなくなることから「神無月」と呼ばれ、神様が集まる出雲の国では「神在月(かみありづき)」と呼ぶそうです。面白いですね。そこで今月は神話絵本をご紹介しましょう。各出版社のお勧めは小学生ですが、ここでは会話をしながら読んであげることを前提に、5歳からとしました。
「世界を知る絵本」4回目は、日本に定着し始めたハロウィンを楽しむ絵本をご紹介します。
【神話の絵本】
『国生みのはなし~イザナキとイザナミ~:日本の神話 古事記えほん【一】』荻原規子:文 斎藤隆夫:絵 三浦佑之:監修/小学館/2016.04/5歳から
ファンタジー文学でファンの多い荻原規子さんの文章と、斎藤隆夫さんの描く美しい日本画による古事記絵本シリーズ全5巻(出版社HPで試し読み可)。第1巻は国生みの神、イザナキとイザナミの物語。この国はどのようにつくられたのか、天と地が初めてできた頃のおはなしです。監修の三浦佑之さんは、古事記研究の第一人者。
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『日本の神話〈第四巻〉いなばのしろうさぎ』赤羽末吉:絵 舟崎克彦:文/あかね書房/1995.10/5歳から
『スーホの白い馬』(福音館書店)で知られる、国際アンデルセン賞受賞画家赤羽末吉さんの絵による、おおらかな神話絵本は全6巻。「いなばのしろうさぎ」は有名でありながらも、物語をご存知の方は少ないのでは? 流れるような美しい文章は、絵を見つめ聞き入るお子さんが少なくありません。絵本の底力が感じられるシリーズです。
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『かみさまのおはなし』藤田ミツ:原作 渡邉みどり:復刻提案 高木香織:構成/講談社/2019.05/5歳から
1940年に出版された「カミサマノオハナシ」が新構成され復刻。上皇后美智子さまが、幼い頃の天皇陛下に読み聞かせた本と話題になりました。原作者藤田ミツさん自ら経営する幼稚園で読み聞かせ、古典の素養と国の成り立ちを園児に伝えてきました。巻末に復刻提案した皇室ジャーナリスト渡邉みどりさん「美智子さまと子どもたちの本棚」を掲載。
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【世界を知る絵本】
『どうぶつたちのハロウィーンって?』アン・ウィットフォード・ポール:文 デイヴィッド・ウォーカー:絵 福本友美子:訳/岩崎書店/2022.08/3歳から
動物たちはハロウィーンに何をするのでしょう?フクロウの子どもはスーパーマン。ブタの子どもはミイラになって、皆で鳥の巣やキツネの穴をトントントンとノックします。動物たちとハロウィーンを楽しみましょう。
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『きょうはハロウィン』平山暉彦:作/福音館書店/2016.09/4歳から
「ハロウィンって、なに?」引っ越してきたばかりの日本人の男の子ケンちゃん。アメリカで初めて体験するハロウィンなのです。「トリック・オア・トリート」遠くで何か声がしています。でもケンちゃんは怖くて外へ出られません。
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『まよなかの魔女たち』エイドリアン・アダムズ:作 野口絵美:訳/徳間書店/2022.09/5歳から
『魔女たちのあさ』(アリス館・1992)が翻訳をかえて復刊です。魔女たちは、暗い森の奥に住み、昼間は眠って、月がのぼる頃に「おはよう」と起きてきます。今日はお祭り。コウモリのシチューを食べ、ホウキに乗って月の周りをぐるぐる飛んで大はしゃぎ。
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