[児玉ひろ美]
JPIC 読書アドバイザー
台東区立中央図書館司書。日本全国を飛び回って、絵本や読み聞かせのすばらしさと上手な読み聞かせのアドバイスを、保育者はじめ親子に広めている。鎌倉女子大学短期大学部非常勤講師など、幅広く活動。近著に『0~5歳 子どもを育てる「読み聞かせ」実践ガイド』(小学館)。
第72回「雨を楽しむ絵本」
縦に長い日本列島。南から北への地域によって、季節の訪れには随分と差がありますね。今年、沖縄地方では5月半ば過ぎにはもう梅雨入りをしたと聞きました。あとは桜前線ならぬ、梅雨入り前線北上中なのでしょう。大人にとって憂鬱な雨も、子どもにとっては、さまざまな楽しみのもと。絵本の世界も、こんなにも賑やかで、楽しそうです。
【雨を楽しむ絵本】
『かさちゃんです。』とよたかずひこ:作/童心社/2017.04/0歳〜
「ぴちゃぴちゃとんとん、ぴちゃとんとん、かさちゃんぞろぞろ…」 黄色いかさちゃんと、カラフルな傘たちが出てくる、色と音の楽しい絵本です。表紙からお話が始まっていますので、ゆったりと絵を見てから表紙を開きましょう。シンプルに歯切れよく、楽しく読んでください。
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『みずちゃぽん』新井洋行:作/童心社/2011.06/1歳〜
水色と背景の白にシンプルな絵本です。ぴちゃ、ぽとぽたぽしゃ、ざざざー!さまざまな水の音を楽しみましょう。表紙のたくさんのしずくの一つ一つが、笑ったり、おしゃべりだしそうだったり、表情があるのも楽しいです。同じシリーズに『ひ ぼうぼう』『かぜ びゅんびゅん』『つち どすん』があります。
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『あめふりさんぽ』えがしらみちこ:作/講談社/2014.05/3歳〜
透明感のある色彩が、雨降りの自然を美しく描きます。大好きな赤い傘に赤い長靴、そして水色のカッパを着てお出かけです。「あめふり さんぽ ちゃぷ ちゃぷ ちゃぷ / あ、かたつむりさん」雨降りがこんなに楽しいなんて! 雨が降れば振るほど、嬉しくなりそう。
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『どしゃぶり』おーなり由子:文/はた こうしろう:絵/講談社/2018.06/4歳〜
「ずだだだだだだだ ぼぼぼぼぼぼぼ ぼぼぼぼぼ」周りが白く見えそうなほどの、どしゃぶりの雨をこんなに楽しめるのは、子どもの特権なのでしょう。見ているだけでも、なんだかスカッとして、大人でもつい真似をしたくなります。雨の音を聞きながら読んでも良いですね。
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『キムのふしぎなかさのたび』ホーカン・イェンソン:文/カーリン・スレーン: 絵/オスター・グレン 靖子:訳/
徳間書店/2012.05/5歳〜
「そうだ、かさをふねにしちゃおう!」小さな女の子キムは、買い物をしているママを待つ間にそんなことを思いつきました。キムが傘の船に飛び乗ると、さあ不思議な旅の始まりです。いったいどこに行くのでしょう?スウェーデンの児童文学を彷彿とさせるような、ワクワクする絵本です。
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『かみなり』武田康男:監修・写真 /小杉みのり:構成・文/岩崎書店/2022.07/5歳〜
美しい写真絵本です。説明や確認に走らず、写真を楽しみながら、ゆったりと読んでください。まるでプラネタリウムにいるような気持になります。文字数が多いように感じるかもしれませんが、平明で読み易い文章ですから、子どもどうし、きょうだいでも読み進められます。
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