特別コラム「絵本でこころの栄養補充」
「絵本の読み聞かせは子育てによいときくけれど、何か心がけることはあるの?」
内田伸子先生のお話をご紹介します。
絵本は0歳の赤ちゃんから大人まで、誰もが楽しめるものです。子どもにとって絵本と出会うのはとても嬉しい体験です。
赤ちゃんにとっては、その絵本に触り、ひっぱり、時にはなめたり、破ったり…絵本は「本」ではなく、楽しいおもちゃの一つです。
赤ちゃん向けの絵本は、絵だけで文字が載っていないものが多いので、「これでは読み聞かせられない」と思う人もいるかもしれません。最初のうちは絵を見るだけでもいいのです。読み聞かせるというよりは、絵を媒介にして赤ちゃんと会話するという感覚を大切にしましょう。赤ちゃんの視線の動きに注意して、見ているものについて「わんわんいたね。かわいいね」など語りかけてあげてください。
もう少し大きくなってきたら、子どもと言葉を交わしながら読み進めると、子どもは絵本をより楽しめるに違いありません。 ページを順番通りにすすめなくては、とこだわらなくてもよいのです。
ちなみに、絵本は表紙から裏表紙まで、物語が続いていることも多いです。子どもと一緒にその世界に浸り、想像を膨らませてください。
4歳になったら、解説を加えずに絵本の文章だけを読み聞かせましょう。
やがて子どものお気に入りの絵本が見つかると、「もう一回読んで!」とせがまれると思いますが、何度でも読んであげましょう。子どもは同じ本でも、昨日とは違った感触を味わいながら、毎日新しい発見をしているのです。 その本を卒業するまで、繰り返し読み聞かせ、心に十分に栄養を与えてあげてください。
読み聞かせをするときは、テレビを消して、子どもが読み手の声に集中できるようにしましょう。
この時間は、心を通い合わせるチャンスでもあります。
それは子どもと絵本の世界を共有できる幸せな時間なのです。
赤ちゃんから大人まで、誰もが楽しめる読み聞かせの時間を通じて、次の世代へ大切な心の栄養が受け継がれていくことを願ってやみません。