トップ教えて!ハテナさん~子育てコラム~第2回 「楽習」主体的な遊びを通して 子どもは伸びる2

常磐短期大学准教授、アクトウェア研究所代表、早稲田大学人間総合研究センター招聘研究員。乳幼児の発達心理学を専門とし、子どもの排泄行動などを研究テーマにしている。著書に絵本「うんぴ・うんにょ・うんち・うんご」「うんこダスマン」(ほるぷ出版)、「保育園は子どもの宇宙だ!トイレが変われば保育が変わる」(北大路書房)などがある。幼稚園、保育園の園環境のデザインや提案を行っており、特にトイレ空間が得意である。

[第1回~第21回執筆者]
環太平洋大学教授・お茶の水女子大学名誉教授・十文字学園大学名誉教授・福岡女学院大学大学院客員教授、学術博士。発達心理学、言語心理学、認知科学、保育学を専門とする。著書に『子育てに「もう遅い」はありません』(冨山房インターナショナル)など多数。

第2回 「楽習」主体的な遊びを通して 子どもは伸びる2

「子どもたちが、『やってみたい!』と思うようなことをできるだけたくさんさせてあげればいいのです。小さいうちに、多くの楽しい経験をさせてあげればいいんです。そうすれば、もし知らないことに向き合ったときにも、物怖じせずに『何だろう? やってみよう!』と意欲につながる。
『知らないことを知るのは、楽しいんだ』と経験的に知っている子は、生きていく上でとても強いですよ。
ところで、子どもたちがしたいこと、大好きなことって、何だと思います? ……そう、〝遊び〞ですよね。やっていて自分が、めいっぱい楽しいことよね」。

知らないことは、こわいことではなく、何かを知るきっかけとなる、とても楽しいことだと経験させること。
それは、大きくなってから頭で覚えさせるにはすでに難しく、小さいうちに、体で、経験で実感しなければ、身につかないことなのです。
「だから、その積極性を育てる幼児期の関わりというのは、とても大切なんですね。
よい関わり方というのは、ある意味ではとても簡単で、どんなお母さんにもできること。だからこそ、ぜひ取り組んでほしいことなんです。
それは、しつけを〝共有型〞にするということ。たったそれだけのことなんですよ」。

先生が行った数々の調査研究の中には、語彙ごい力によって子どもの発達をはかるものがあります。そこで、高得点をマークした子どもたちには見られた共通点こそが、この〝共有型しつけ〞だったのです。
「私たちは、しつけを2つのパターンに分けて考えてみました。共有型しつけと強制型しつけです。共有型というのは、親子のふれあいを大切に、子どもと楽しい時間を共に過ごそうと考えている親のしつけ法。
まず何よりも、子どもに寄り添うことを第一に考えます。対して、強制型しつけは一方的に親の言うことを聞かせようとするトップダウン方式。
大人の考える〝悪いこと〞をしたときには罰を与えるのは当然であるという考えのもとでしつけがなされます。語彙力の高い子どもは、総じて共有型しつけを受けているケースが多かったんですね。
例えば、調査の中で、絵本の読み聞かせの様子を観察する項目がありました。共有型しつけのお母さんは、読んだあとに、ひと呼吸おいて子どもの反応をじっくり待っていました。
あれこれ大人が言うのではなく、子どもから出てくる言葉を、待ったんですね。子どもから出てきた言葉に、ていねいに否定することなく寄り添おうとする。
対して、ある教育熱心な強制型しつけのお母さんは、絵本をぱたんと閉じると、『さあ、今のお話はどんなおはなしだった? 話してごらんなさい』と言い出したんです。
……これではまったく、子どもは絵本の世界を楽しめませんよね。さらに、強制型しつけを受けたお子さんは、何か行動を起こす前に、すぐに親の顔色を見るんです。
そして、親が何か指示を出したり、許可をしないと動き出せないでいる。小さいうちから、すでに自主性がなくなってしまいがちなんですね」。

子どもの自主性を、能力を伸ばすために私たち親ができることは、完全な道すじをつくり、そこに子どもをのせることではないと内田先生は考えています。
子どもそれぞれの個性や感受性を敏感に見守り、彼らに考える、あるいは選択する余地を常に与えること。あくまで、子どもがそれと気づかない形でサポートすることが、親の役目。
「小さいうちは、やりたいことを好きなだけやらせる。強制ではなく、たくさんの選択肢を与えて彼ら自身に選ばせることが大切です。その結果、子どもが自分からやりたがることといえば……やっぱり楽しいこと、
〝遊び〞なんです。たくさん遊ばせて、楽しい経験をたくさんさせる。日本人は勤勉だから、〝遊び〞というと怠けごとと同じように捉えてしまいがち。でも、そうではないんです。
楽しいからこそ、印象に残り、しっかりと身につく。楽しいからこそ、将来まで役に立つ自主性が身につく。〝楽習〞は、小さいうちにこそ身につけたい、親と子の大切な習慣なのです」。

me[ミー]春号 2015 Spring Vo.25より転載と追記

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常磐短期大学准教授、アクトウェア研究所代表、早稲田大学人間総合研究センター招聘研究員。乳幼児の発達心理学を専門とし、子どもの排泄行動などを研究テーマにしている。著書に絵本「うんぴ・うんにょ・うんち・うんご」「うんこダスマン」(ほるぷ出版)、「保育園は子どもの宇宙だ!トイレが変われば保育が変わる」(北大路書房)などがある。幼稚園、保育園の園環境のデザインや提案を行っており、特にトイレ空間が得意である。

[第1回~第21回執筆者]
環太平洋大学教授・お茶の水女子大学名誉教授・十文字学園大学名誉教授・福岡女学院大学大学院客員教授、学術博士。発達心理学、言語心理学、認知科学、保育学を専門とする。著書に『子育てに「もう遅い」はありません』(冨山房インターナショナル)など多数。