便育コラム 第8回「うんち!」で大人を試す
あるご家庭の親子の様子を観察させていただいたときのことです。
お父さんとお母さんと2歳半ぐらいの男の子がリビングで休日の午前中を過ごしていました。
男の子は一人でおもちゃに向かって遊んでいますがなんとなく手持無沙汰な様子です。
「パパ!」とお父さんを呼んでみますが、お父さんは新聞を読みながら「うん?」と言うだけで男の子のほうを見もしません。
お母さんはパソコンに向かって何やら熱心にお仕事をしています。
男の子は積み上げた積み木を倒して「ガシャン」と大きな音を立てて、お父さんとお母さんの方をうかがいます。
でも、お父さんもお母さんも、何も聞かなかったかのように、新聞を読み続け、パソコンに向かい合っています。
男の子がつぎに試したのは、「うんちでちゃう!」とつぶやくことでした。
その途端、お母さんは男の子のそばに駆け寄り「よし、トイレに行こうね」と言い、お父さんは男の子の手を引いてトイレまで連れてゆきました。
けれども、男の子はトイレに着くと今度は「うんち、出ない!」とちょっと得意顔でお父さんを振り切ってリビングに戻ってくるのでした。
こんなシーンに心当たりがあるご家庭もあるのではないでしょうか?
これはべつに親をからかっているわけではありません。
確かめているのです。
ちゃんと自分の思いに応えてくれるかどうか。
大人は「あ~、またやられた」と思うかもしれませんが、子どもにとっては、「いざというときにはちゃんとかまってくれる」という親の「変わらぬ愛」のようなものを確認できてうれしいのでしょう。
「うんち!」は子どもにとっては魔法のような言葉なのかもしれません。
これを言えば親が必ずこちらを振り向いてくれる便利な言葉なのです。