便育コラム 第18回いつから排泄がはずかしくなるの?
0歳や1歳の子どもでは排泄を恥ずかしいと思う感覚はまだありません。恥ずかしさの感覚は養育環境に影響されながら形成されてゆくものです。
保育園や幼稚園のトイレは男女を区別せずに設置しているところが大変多く、5歳児が使うトイレでも間仕切りが無く一つ一つの便器が個室になってない場合も珍しくありません。
ある保育園で園舎の改修に伴って、間仕切りの無いトイレから間仕切りをつけて便器を個室に改修したところがありました。
改修前は間仕切りの無いトイレで女の子が便器に座り、男の子は小便器の前に立って、お互いに用を足しながら話をして笑い合うおおらかな様子が見られましたが、トイレが新しくなって一つ一つの便器が個室になると様子は一変したのです。
男の子は以前と同じように女の子に話しかけようとして、女の子が入っている個室のドアを開けたのですが、女の子に「見ないで!エッチ!」と厳しく言われてしまいます。
男の子はおそらくそんなつもりではなかったのでしょうが、何となく気まずい雰囲気を感じてたじろぎました。
そしてまた女の子が見られるのを嫌がっていることがわかると、今度はわざと間仕切りによじ登って覗こうとする行為が男の子に見られるようになります。覗くといっても、単純に女の子を怒らせて喜んでいるような感じですが。
さらにあるときはピンク色の間仕切りの個室に入って用を足そうとする男の子が、それを見た女の子に「ここはピンクだから女の子のトイレだよ。男の子は使っちゃダメなんだよ」と言われてしまい、退散してゆく姿が見られることもありました。そして男の子は女の子のいない時を見計らってこっそりと個室のトイレを使うのでした。
保育者が教えたわけでもないのに、環境が変わるだけでこんなにも子どもの行動はあっという間に変化します。そしてそこには「性に対する意識」が強く育っています。おそらく保育園以外の施設のトイレのあり方や周囲の大人の振舞いなどを参照していち早く生活に取り入れるのでしょう。
この時期の幼児は女の子の方が言葉が達者であることが多く、男の子よりも弁が立ちます。言葉では男の子はなかなか女の子にはかないません。男の子は今まで受け入れてもらえていたことが、急に「ダメ!」と女の子に拒否されて戸惑いながらもそれが何を意味しているのかを感じ取って受け入れてゆきます。
保育園や幼稚園の開放的なトイレ環境を見て、そのような環境に慣れてしまうと子どもが小学校に入学した後も羞恥心が育たないのではないかと心配する親御さんがときどきおられますが、その心配はなさそうです。
小学校入学当初に、閉鎖的な個室のトイレに入るのを怖がって扉を開けたまま用を足す児童はいますが、それは性の意識が欠けているのではなく、怖さからくるものです。しばらくすれば慣れて、扉を閉めて用を足すことができるようになるでしょう。