便育コラム 第19回学校でトイレに行けない症候群
20年ほど前に国内の小学校のトイレの使用状況を調査したことがありました。東京、福岡など15か所の小学校が調査対象でしたがどこも家庭のトイレの快適さとは程遠く、汚くて臭くて暗いトイレでした。
子どもたちにアンケート調査をしたところ、学校ではトイレに行くのを我慢すると答えた子どもが少なくなかったのです。我慢する理由はトイレが汚いこと、くさいことが大きな要因となっていました。
排泄を我慢するのは健康上も問題であることから、国は平成13年より学校トイレの大規模改修に予算をつけることになりました。そうして少しずつ公衆トイレよりもひどいといわれた学校トイレの改善が始まったのです。
ところがトイレがキレイになるとトイレに行くのを我慢する子どもは減るのですが、それでもまだ完全にはいなくなりませんでした。根強く我慢する子どもたちの理由は「学校のトイレで大便をすると友達にからかわれたり、覗かれたりする」というものでした。これはトイレをきれいにしても解決することができない問題でした。
子どもたちは生きる上で当たり前の排泄行為を人に知られては「恥ずかしい行為」として認識しているのでした。
子どもたちが「恥ずかしい」と感じているのはとりわけ「排尿」よりも「排便」で、低学年よりも高学年で恥ずかしさが強く、女児よりも男児がより恥ずかしいと感じています。
このため小学生の男子は「学校では一度も排便をしたことが無い」という子どもも少なくないのです。行きたくなっても我慢して放課後に自宅までダッシュして帰ったり、教室の近くのトイレではなく遠く離れたトイレで用を足したり、職員トイレをわざと使ったり、授業時間中にこっそりトイレに行くなど、友達に気付かれないように排便するためにとても気を遣っているのです。
大人の男性方に小学校時代にこのような経験があったかと尋ねると、年配の方でも学童期には冷やかされるのが恥ずかしくてやはり隠れて用を足した経験を持っている方が多いようです。どうやら男性にとって小学校で排便することは今も昔も大変なことのようです。
このようなからかいに対する恥ずかしさは小学校の高学年がピークであり、中学生になると一段落して学校でも普通にトイレに行って排便できるようになります。
恥ずかしさの原因が友人からのからかいやのぞきだとすると、なぜ排泄、とりわけ排便がからかいの対象となるのでしょうか。次回は「うんこといじめ」について書かせていただきます。