便育コラム 第29回「うんち」のえほん紹介1 キタキツネの親子のお話
私がまず一番にご紹介したい絵本は獣医師の竹田津実さんが書かれた「森のお医者さん⑦ うんちとおしっこのひみつ」(国土社)です。著者がご自身で撮影された写真と温かなまなざしで語った動物の様子がとってもほほえましいのです。
その中にキタキツネの親子のお話が出てくるのですが、母ギツネは子ギツネのおしりをきれいになめて子ギツネが排泄物で汚れないようにします。また子ギツネは母ギツネになめてもらわないとうんちができないのです。
あるとき生まれたての子ギツネが病院に運ばれて来きます。最初はミルクをおいしそうに飲んでいたのですが、だんだん元気がなくなってゆきます。子ギツネのお腹を見るとパンパンに膨れていて、おしっこもうんちも出ていないようなのです。竹田津先生がお湯でひたしたワタで子ギツネのおしりやおちんちんをこすってあげると、うんちがもりもりっと出てきて、おしっこも元気に出てきたのです。うんちが出た時の子ギツネの表情といったら本当に気持ちよさそうで、なんともほっとした気持ちが伝わってくるのです。
私はこのキタキツネの親子のお話を便育講座でもよく紹介させていただいています。この絵本を見た子どもたちは子ギツネのかわいさにもうメロメロです。そしてキツネの親子の絆の強さというか優しさにうっとりしてしまうのです。
子ギツネが無事にうんちを排出でき、命拾いして元気になる姿を見て、子どもたちは排泄の大切さをわかってくれるようです。
また排泄することが親子のコミュニケーションを生み出し、あふれるような母ギツネの愛情が伝わってきてたまらないのです。
残念ながらこの本は既に絶版になっています。図書館や古本屋さんでは手にすることもできると思いますので、ぜひ親子で読んでみてください。

森のお医者さん⑦ うんちとおしっこのひみつ
竹田津実 作 (国土社)