常磐短期大学准教授、アクトウェア研究所代表、早稲田大学人間総合研究センター招聘研究員。乳幼児の発達心理学を専門とし、子どもの排泄行動などを研究テーマにしている。著書に絵本「うんぴ・うんにょ・うんち・うんご」「うんこダスマン」(ほるぷ出版)、「保育園は子どもの宇宙だ!トイレが変われば保育が変わる」(北大路書房)などがある。幼稚園、保育園の園環境のデザインや提案を行っており、特にトイレ空間が得意である。
[第1回~第21回執筆者]
環太平洋大学教授・お茶の水女子大学名誉教授・十文字学園大学名誉教授・福岡女学院大学大学院客員教授、学術博士。発達心理学、言語心理学、認知科学、保育学を専門とする。著書に『子育てに「もう遅い」はありません』(冨山房インターナショナル)など多数。
- 特別コラム「絵本でこころの栄養補充」
- 便育コラム 第32回「便育」で体調も人間関係も良好に
- 便育コラム 第31回子どもにとって「うんち」はただの排泄物ではない
- 便育コラム 第30回「うんち」のえほん紹介2 生き物のうんちの色や形には意味がある
- 便育コラム 第29回「うんち」のえほん紹介1 キタキツネの親子のお話
- 便育コラム 第28回「便育」のすすめ 出前講座
- 便育コラム 第27回「うんこ」の話題をオープンにしよう!
- 便育コラム 第26回おならの音とにおい
- 便育コラム 第25回排泄時の音が気になる?
- 便育コラム 第24回うんこダスマン! 5つの術!
[第1回~第21回執筆者]
環太平洋大学教授・お茶の水女子大学名誉教授・十文字学園大学名誉教授・福岡女学院大学大学院客員教授、学術博士。発達心理学、言語心理学、認知科学、保育学を専門とする。著書に『子育てに「もう遅い」はありません』(冨山房インターナショナル)など多数。
便育コラム 第32回「便育」で体調も人間関係も良好に
小学生が恥ずかしがって学校で大便できないという問題に興味を持ってから、かれこれ20年以上「便育」活動を行ってきました。
「大便」は大きな便りと書くように、身体からのメッセージだと子どもたちによく説明します。大便の「いろ」や「かたち」や「におい」にはそれぞれ意味があるということを理解してほしいと考えています。
(第23回うんこは生活のアウトプット)
子どもたちの多くは排便した後に自分の便を見ないで流してしまいます。「見るものではない」という認識があるからでしょう。
しかし、便を見ることは、自分の生活を振り返るきっかけになるのです。
幼児期や学童期に便を見る習慣をつけることで、自分の身体に起こる異変にもいち早く気づくことができ、生涯健康に生きるために役立つでしょう。
「便育」講座では便の状態を4つに分けてそれぞれネーミングしています。名前を付けることで便の様子を把握しやすくなるからです。
(第22回うんこのネーミングで健康状態を知る)
気持ちよく毎日排便するためのポイントとして、朝ご飯を食べること、繊維を摂ること、水分を摂ること、よく運動すること、早起きして排便する時間をつくることの5つをあげていますが、中でも一番大事なのは「よく運動すること」です。身体を思いっきり動かして遊ぶことで、他の4つも自ずとできやすくなるのです。
(第24回うんこダスマン! 5つの術!)
便秘の状態では、身体もすっきりせず、活発に遊ぶこともできず、集中力も低下し、イライラしやすくなることもあります。
よい生活習慣を幼児期や学童期に身につけて、身体の異変をキャッチするセンサーを研ぎ澄ましてほしいと思います。
子どもたちが学校で「大便」するのが恥ずかしいと感じる理由は実際に友達から冷やかされるとか、冷やかされたらどうしようという不安があるからです。
(第18回いつから排泄がはずかしくなるの?)
(第19回学校でトイレに行けない症候群)
ちょっとした冷やかしやからかいならまだよいのですが、それが執拗に続いていじめに発展するとちょっと問題です。
からかいがいじめに発展するかどうかはからかう側、からかわれる側の社会的なスキルにもよりますが、排泄の大切さや意味をよく理解し、べつに恥ずかしがることではないと理解できていればブレーキを効かせることもできるのではないでしょうか。しかし大便は汚くて臭くて、「学校で排便するやつはクズだ」という認識があれば、とことんいじめる行為となってしまうのではないでしょうか。
(第20回うんこといじめ)
「便秘」が良くないということは学校の授業で取り扱われることがあっても、「排便することは恥ずかしいことではない」とか便の色や形やにおいには意味があるということはなかなか説明される機会がないのが現状です。
大人が排泄の話をもっとオープンに話して、排泄をネガティブに語るのではなく、オープンに話せる雰囲気を作ることが大切です。
(第27回「うんこ」の話題をオープンにしよう!)
(第28回「便育」のすすめ 出前講座)
排泄に関する恥ずかしさは女子より男子が感じていますが、小学校の高学年をピークに中学、高校、大学へと進学するに従って治まってゆきます。
しかし女子に多い音への羞恥心は大学生になってもなくならず、エチケット行動として定着してゆきます。
近頃は男子大学生も音消し装置を積極的に使用する傾向があり、排泄時に音を消す行為は男女とも定着してゆきそうです。
(第25回排泄時の音が気になる?)
小学校の高学年は排泄のことだけでなく、様々なことに羞恥心を感じるようになります。
「便育」として、排泄の大切さ、便の意味などを子どもたちに説明するなら幼児期や小学校の低学年の内がおすすめです。一旦恥ずかしくなってしまうとそれを元に戻すことは難しいからです。
毎日学校で排便を我慢するのはつらいことです。オープンに排泄の話ができる雰囲気の中でおおらかに過ごさせてあげたいものです。
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