常磐短期大学准教授、アクトウェア研究所代表、早稲田大学人間総合研究センター招聘研究員。乳幼児の発達心理学を専門とし、子どもの排泄行動などを研究テーマにしている。著書に絵本「うんぴ・うんにょ・うんち・うんご」「うんこダスマン」(ほるぷ出版)、「保育園は子どもの宇宙だ!トイレが変われば保育が変わる」(北大路書房)などがある。幼稚園、保育園の園環境のデザインや提案を行っており、特にトイレ空間が得意である。
[第1回~第21回執筆者]
環太平洋大学教授・お茶の水女子大学名誉教授・十文字学園大学名誉教授・福岡女学院大学大学院客員教授、学術博士。発達心理学、言語心理学、認知科学、保育学を専門とする。著書に『子育てに「もう遅い」はありません』(冨山房インターナショナル)など多数。
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[第1回~第21回執筆者]
環太平洋大学教授・お茶の水女子大学名誉教授・十文字学園大学名誉教授・福岡女学院大学大学院客員教授、学術博士。発達心理学、言語心理学、認知科学、保育学を専門とする。著書に『子育てに「もう遅い」はありません』(冨山房インターナショナル)など多数。
便育コラム 第10回トイレットトレーニングって誰のトレーニング?
「トイレットトレーニング」という言葉は、ある時期に必ずやらなくてはならないというイメージがあり、親たちを急き立てているような気がして、私は好きになれません。
そして「トレーニング」の結果として使われる言葉が「成功」や「失敗」であり、やり方が「良い」とか「悪い」とか子育てを評価することにつながっていくのではないでしょうか。
一方、子どもが食べ物をうまく食べられるようになっていく過程で「トレーニング」という言葉を使ったりはしません。
親は子どもの食べっぷりをよく観察して、「もう少し柔らかくしてみよう」とか、「もう少し小さく切ってみよう」とか、「うまくモグモグできるようになってきたな」と子どもの表情や身振りと対話しながら試行錯誤して、食行動の発達を見守ります。
「第3回 なぜ『ヒト』はおむつを使うのか?」で書いたように、我々ヒトの子育ての最大の特徴は親子の間にさまざまな「モノ」が介在することです。
いろんな子育てグッズがあることで便利で助かることも多いです。中でも「おむつ」は無いと子育てが成り立たないほどの存在です。
「モノ」が介在しない場合は、親と子は直接触れ合いながら感じたり、互いにセンシブルでいられたわけですが、「モノ」が介在することによって「モノ」を通して状況を判断するようになってしまいました。
例えば、「おむつをしているからおしっこやうんちが出ても安心だわ」、「最新のおむつは蒸れにくいから、すぐに取り変えなくても大丈夫よね」、「あと1回分は十分に吸収できそうね」というふうに、子どもの様子よりもおむつの性能を基準に判断してしまうことが多いのではないでしょうか。
もしも「トレーニング」というなら、それは親のトレーニングかもしれません。
おむつでおしっこやうんちを受け止めることを当たり前にしてきたので、子どもが出す排泄のサインに意識を向けてこなかったわけです。おむつを外す時期になったからといって、急にサインをうまくキャッチできるようになるのは難しいでしょう。
そう考えると、「トレーニング」といって子どもが排泄を事前に申告できるようになるのを、「がんばれ、がんばれ」と上から目線で励ます姿勢は何か違うような気がしてきませんか。
それから、おむつを外してみて、子どもがうんちやおしっこを漏らしてしまう事を「失敗」と呼ぶのは間違っていると思います。
おむつの外で排泄する感覚をつかむことは重要だからです。
子どもがその感覚をつかむことにお母さんが寄り添うことが大切です。
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