トップ教えて!ハテナさん~子育てコラム~第9回 男の子脳・女の子脳の違い

常磐短期大学准教授、アクトウェア研究所代表、早稲田大学人間総合研究センター招聘研究員。乳幼児の発達心理学を専門とし、子どもの排泄行動などを研究テーマにしている。著書に絵本「うんぴ・うんにょ・うんち・うんご」「うんこダスマン」(ほるぷ出版)、「保育園は子どもの宇宙だ!トイレが変われば保育が変わる」(北大路書房)などがある。幼稚園、保育園の園環境のデザインや提案を行っており、特にトイレ空間が得意である。

[第1回~第21回執筆者]
環太平洋大学教授・お茶の水女子大学名誉教授・十文字学園大学名誉教授・福岡女学院大学大学院客員教授、学術博士。発達心理学、言語心理学、認知科学、保育学を専門とする。著書に『子育てに「もう遅い」はありません』(冨山房インターナショナル)など多数。

第9回 男の子脳・女の子脳の違い

知って納得!子どもの脳の成長編

親がいくら教えても、子どもがその通りにできない時はできないものです。
子どもが親の言うことを聞かないのにも理由はあります。親にとってはマイナスに思えることも、
実は子どもが成長していくための大切なプロセスでもあるのです。
(内田伸子先生著書『子育てに「もう遅い」はありません』より

 
―たのしく・あそぶ・まなぶ・そだつ―

今回は、子どもの「脳の育ち」を軸に、子どもの成長のプロセスを
内田先生がやさしく解説してくださいます。
脳の発達の段階に応じた、折々の子どもの姿がわかると、
子育ては一層たのしいものになることでしょう。

  

男の子と女の子では「脳」の発達の速度が違います。
言葉を司る脳、「左脳」の発達は男の子より女の子のほうが速いのです。女の子は早い段階で「こんにちは」「ありがとう」と言えるようになるので、しっかりしているように見えるのです。
男の子は左脳と右脳がほぼ同じ程度に発達するので、女の子の左脳と比べるとやや遅れています。
そのため、まだ言葉でうまく言い表せずに、黙ってモクモクと遊んでいたり「ご挨拶は?」と言われてもモゴモゴと口ごもったりするわけです。
この時に「しっかりしなさい!」という言葉をかけると、男の子は追いつめられて、ますます自信をなくしてしまいます。言えないことを取り上げて叱るのではなく、モゴモゴと挨拶をしても、「ご挨拶できたわね」と認めて、自信を持たせてあげてください。
女性は、右脳と左脳とをつなぐ脳(のう)梁(りょう)という部分が男性よりも太いので、左右の脳を使って話をするとも言われています。このため、女性は感じたことをスムーズに言葉にできるのです。おそらく、男性に口下手が多いのは、脳の発達の性差に関係しているのかもしれません。
「男の子(女の子)はこうあるべき」という固定概念にしばられず、長い目で子どもの成長を見守ってほしいと思います。

 

10か月頃から始まる「記憶の発達」

友達と遊ぶ約束をしていたのにコロッと忘れたり、遊びに行っておもちゃを忘れてかえってきたり、意外にも子どもは「忘れん坊」です。
子どもはいつごろからきちんと記憶できるようになるのでしょうか。
人間の「記憶する」という機能は、0歳のときから始まっていることが確かめられています。
記憶の発達は脳の記憶を司る「海馬」(イラスト参照)と呼ばれる大脳辺縁系の神経細胞のネットワークがつくられることによって支えられています。「エピソード記憶」は特定の時間や場所に結び付いた記憶です。この記憶が発達するのは生後10か月ごろからです。
人間の脳は生まれた時から完全な状態ではなく、5歳半ごろには、前頭連合野のワーキングメモリーと海馬のネットワークが出来上がります。忘れっぽい子どもは、まだ脳のネットワーク機能が十分にできあがっていないので、記憶をうまく取り出せないだけでしょう。
脳のネットワークは、使えば使うほどその部分のつながりが強くなるといわれています。記憶を取り出すのも同じです、大人が何でも先に言ってしまうと子どもの脳は発達しません。
なるべく自分で考えて答えを見つけるように導いてあげましょう。

 
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「海馬」
体験の記憶を記憶貯蔵庫に転送する働きをする。
「扁桃体」
快不快感情が喚起される。快適な感情状態では海馬が活発に働くのでものがよく覚えられる。叱られながらやった勉強が身に着かないのは扁桃体が不快だと海馬の働きが抑制されてしまうため。
「ワーキングメモリー」
情報処理を統括する働きで、5歳後半ごろから海馬や扁桃体とネットワークが作られるので、情報処理の性能が高くなる
出典:『子育てに「もう遅い」はありません』(冨山房インターナショナル) イラスト/濱 愛子

 
me[ミー]夏号2015 summer Vol.27より転載

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常磐短期大学准教授、アクトウェア研究所代表、早稲田大学人間総合研究センター招聘研究員。乳幼児の発達心理学を専門とし、子どもの排泄行動などを研究テーマにしている。著書に絵本「うんぴ・うんにょ・うんち・うんご」「うんこダスマン」(ほるぷ出版)、「保育園は子どもの宇宙だ!トイレが変われば保育が変わる」(北大路書房)などがある。幼稚園、保育園の園環境のデザインや提案を行っており、特にトイレ空間が得意である。

[第1回~第21回執筆者]
環太平洋大学教授・お茶の水女子大学名誉教授・十文字学園大学名誉教授・福岡女学院大学大学院客員教授、学術博士。発達心理学、言語心理学、認知科学、保育学を専門とする。著書に『子育てに「もう遅い」はありません』(冨山房インターナショナル)など多数。